バンドの演奏を見ていると、自然と目がいくのはボーカルやギターなど、前に立つ華やかな存在だ。
けれど、一度ドラムに視線を奪われると、もう戻れなくなる。
シンバルの輝き。
連なる太鼓。
それらを、腕とスティックが信じられない速度で駆け巡る。
低音から高音までを自在に操り、曲の奥で鳴り続けるその音は、主旋律とは別の「もう一つの楽曲」のように感じられる。
激しさと繊細さを同時に持ち、演奏全体に強烈な存在感を与えている。
初めて生でドラムを見たとき、純粋に圧倒された。
一人の人間が、これほど多彩で力強い音を生み出しているとは信じがたく、その躍動感と迫力に完全に心を掴まれた。
当時は、ドラムという楽器を「自由に叩けて、一番目立つパート」だと思っていた。
しかし、バンドというものを知れば知るほど、その印象は大きく覆される。
ドラムは、演奏全体の基準となるリズムを刻む、バンドの核だ。
リズムがずれれば、全員が迷う。
止まれば、演奏そのものが崩壊する。
だからこそ、ドラマーは膨大な量のリズム練習を積み重ねる。
フレーズを考える以前に、体が正確な時間を覚えるまで、ひたすら叩き続ける。
一見、縦横無尽で自由に見えるドラムの演奏。
その裏側には、絶対に揺るがない規律と、徹底したリズムキープがある。
自由に見えるのは、自由だからではない。
制約の中で、音楽に最適な一打を選び続けているからこそ生まれる表現だ。
手足を独立して動かし、一定のテンポを保ちながら、抑揚と流れを作る。
そのすべてを成立させて初めて、ドラムは“音楽”になる。
自分もかつて、実際にドラムを練習していた時期がある。
反復練習を重ね、様々な楽曲に挑戦する中で、その奥深さと難しさを身をもって知った。
叩いている最中の爽快感。
リズムを生み出しているという実感。
ベースと低音が噛み合い、曲が前に進んでいくあの感覚。
どれも、他の楽器では味わえない特別なものだった。
ドラムの魅力は、語り尽くせない。
これからも、ステージの後方で演奏全体を支えるドラマーの姿に目を向け、修練とセンスが生み出す躍動感を感じ続けていきたい。

シンバルの光沢は、自分が叩く時も、ライブを見に行った時も、ワクワクさせてくれる雰囲気がある。シャーン!っていう標準シンバルも、ガシャーン!っていうチャイナシンバルも、どちらも心をワクワクさせてくれて好きです。
塔野ミノル

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