※この文章は、ある楽曲の裏側にある物語です。
いつもの記事とは少し違う温度で書いています。
この世界には、綺麗な側面と、悪に染まった歪んだ側面が同時に存在している。
目の前に広がっていたのは、子どもの頃から信じていた正義や、真っ直ぐな世界ではなかった。
正義が勝つことは少なく、多少の悪を内包し、その場しのぎで器用に立ち回れる人間や、狡猾な人間ほど上手く生きていける、歪な世界だった。
現実に抗おうと、自分の力を信じ、心にある剣を振るいながら必死に戦ってきた。
しかし、悪が減ることはなく、その力は利用され、信じていた仲間には裏切られ、都合の良い関係だけが増えていった。
正しさや誠実さとは何のために存在し、誰の役に立つのか。
次第にそれすら分からなくなり、葛藤だけを抱える日々が続いた。
それでも、人を傷つけ、裏切り、利用して得をする生き方には強い抵抗がある。
自分が信じた道を進み、後悔のない生き方をしたい。
その想いが、自身の剣を失わないための、より強固な意志へと変わっていった。
闇雲に悪へ剣を振り回しても、動きは読まれ、簡単に避けられてしまう。
剣の使い方を学び、戦術を理解し、悪の隙が生じる瞬間を待つ。
相手の行動や戦い方を理解した上で、対策を練り、闘いに挑む必要があると学んだ。
多くの悪が取りがちな戦略や行動パターンを知り、その中にある隙や思惑に気付くためには、
自分自身も一度、悪に染まらなければならない。
悪に染まることで、自分まで悪になってしまったのではないかという罪悪感に苛まれることもある。
それでも、今の世界の大きな力に対抗するための一つの手段だと考え、耐え忍ぶしかない。
正義を振りかざし、悪を一方的に裁きたいわけではない。
ただ、明らかな悪が目の前に現れた時、自分の目が届く範囲だけでも打ち滅ぼし、
束の間の平和をもたらしたいと願っている。
悪に染まり、悪の手法を学び、弱点を見極める。
そして、悪が動き出したその瞬間、迷わず剣を振るい、対抗する。
その想いが、今も心を満たしている。
何度も悪に屈し、悔しい思いをし、失ったものも多い。
その場を去っても、また同じような悪が次々と現れる。
それは現実世界だけでなく、ネット社会でも同じだ。
あまりにも、悪が多すぎる世界である。
戦い続ける日々の中で、剣は削られ、しなやかさを帯びていった。
気が付けば、最初に持っていた剣とは、まったく違う質感へと変わっていた。
かつての剣は、大きく、太く、重さのある武骨な剣だった。
だが今の剣は、磨かれ、細く、しなやかでありながら、密度が高く、芯のある硬さを持つ。
その刃の鋭さと、洗練された光沢は、初期の剣とは明らかに次元が違っている。
いつの日か、刃がこぼれ、剣が折れるその時まで。
それでも、戦い続ける。
この文章を元に制作した楽曲があります。
もしタイミングが合えば、静かな時間に聴いてもらえたら嬉しいです。
塔野ミノル


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